透明で流暢、華麗で倦怠感に充ちた、虹色の幻想世界といわれ、
W・B・イエイツらと共に、ヨーロッパの根源的な想像力に肉薄したロード・ダンセイニの幻想小説は、
原点を失った流動の世代に新らしい衝撃を与える”異質の発見”である。
ひとたびダンセイニの世界が展開すれば、永遠はたちまち瞬時よりもはかなく過ぎ去り、
神々は人を恐れるあまり野獣に変身し、瀕死の人間精神は神秘という名のオアシスを索めてさまよい、
繁栄をきわめた物質文明の街は突如発狂する――