十八世紀末から十九世紀中葉にかけてのドイツで、
詩人たちが見たひとつの壮大な夢

――＜メルヒェン＞。

想像力は奔放に星座を翔けめぐり、
言葉は美しいかい諧音となって森に木霊する。
彗星の如く時代を駆け抜けた彼らドイツ・ロマン派の世界は、
しかし驚くほど多彩であった。

詩聖ゲーテ、当代最高の見者<ボワヤン>ジャン・パウル、
苦悩の鬼才クライストといった巨大な同時代人を始め、
美への讃歌を謳って逝ったヴァッケンローダー、
画家として著名なルンゲ等のロマン主義者、
そして写実主義への移行期に活躍した
シュトルム、ケラーに至る作品群は、今日ますますその輝きをましている。
本巻は、さらに本邦未紹介の異色作家を多数収録し、
ロマン派短編の精髄を示した。

収録作品は
・ゲーテ「メルヒェン」
・ジャン・パウル「小品集」
・ヴァッケンローダー「裸の聖者」
・ルンゲ「漁師とその妻」
・クライスト「聖ツェチーリエ、または音楽の力」
・コンテッサ「別れの宴」
・チョッケ「ある座右銘の予言」
・アルント「スヴァンヴィーテ姫」
・ボナベントゥーラ「長い鼻の童話」
・ケルナー「オルラッハの娘」
・ギュンデローデ「ティムール」
・シュトルム「リンゴの熟す頃」、「雨乞い」
・ケラー「仔ネコのシュピーゲル」
・ヘッベル「ルビー」

月報付きです。