――哀れな愚か者よ！汝は、われわれがあらゆる秘密の最大かつ
　　もっとも重要なものをあけすけに包み隠さず公にでもすると単純に信じているのか――。
一攫千金の夢を抱いて、錬金術文書を通俗の字義通りに解釈するものは、
二度と再び出てはこられぬ迷宮に迷い込むであろう。
偏狭な理性を避けあるいは超越する真の錬金術師たちだけが、この迷宮から外へ無事に導き出されるのである。
エジプト人も、インド人も中国人も、錬金術の伝統をもっていた。彼らがそこに求めたものは何であったのか。
太陽と月、男性と女性に象徴される相補い合う二つの原理の結合を通じて
ついに手にしたという「哲学者の石」とは、一体何を意味しているのであろうか？